スマートフォンといえば、やっぱり中国。
シャオミ、ファーウェイ、OPPO、vivo、そしてHONOR——。
この10年のスマホ史を語るなら、中国抜きには語れない。
それだけに、中国市場に“攻め込む”なんて、相当な覚悟と戦略がなければ無謀で終わる。でも今、その本丸に挑もうとしている会社がある。
イギリス・ロンドン発のハードウェアブランド、Nothing(ナッシング)だ。
「透明」が武器のガジェットブランド
Nothingをひと言で説明するなら、“中身を魅せる”ブランド。
最初に話題になったのは、2021年に発売された真っ白な透明イヤホン「Ear (1)」。
続いて登場したスマホ「Phone (1)」も、背面がスケルトン仕様。中のネジや配線、チップすらデザインの一部だ。
「見せないのが美学」というこれまでのスマホとは真逆。
なのに、なぜかカッコいい。ガジェット好きも、デザイン好きも惹きつけられた。
小さな会社、でも世界で売れてる
Nothingはまだ社員数200人ほどのスタートアップ。それでも2024年の売上は5億ドル、2025年には累計10億ドルを突破したというから驚きだ。
製品も次々と出していて、イヤホンにスマホ、そして今年は初のヘッドホン「Headphone (1)」までリリース。しかも音響パートナーは、あの英国高級オーディオブランドKEF。
“音質ガチ勢”にも応える仕様で、ただの見た目勝負じゃないところがニクい。
中国進出。正面突破の構え
そして今年、Nothingはついにスマホの本場・中国市場への本格進出を発表した。
最初に出すのは、得意のオーディオ分野から「Headphone (1)」。
さらに秋には、中国向けに最適化したスマートウォッチも登場予定だとか。
まだ中国チームは10人足らず。でも、開発拠点もサプライチェーンも中国にあるNothingにとって、この地での挑戦は必然でもある。
なぜ中国で勝負するのか?
普通なら、「あえて中国でやらなくても…」と思う。競合だらけ。価格競争もえげつない。デザインやUIも中国メーカーは上手い。
でもNothingの創業者Stevenはこう言っている。
「今の中国に足りないのは、“感情に響く製品”」
見た目が面白いとか、AIが入ってるとか、そういうことじゃない。
「これ、好きだな」「なんかいいな」と思わせる、“共感のツボ”を突けるかどうか。
そこでNothingは、中国でもただ売るだけじゃなく、「作り手の熱量が伝わるプロダクト」を届けたいと考えている。
“違和感”が武器になる時代
今、スマホもイヤホンも「全部似てる」が当たり前。どこかで見たような製品ばかりが並ぶ棚で、Nothingはあえて「違和感」を出してくる。
それが、「なんか気になる」「ちょっと欲しいかも」という感情に変わる。
中国市場は確かに厳しい。でも、そのぶん変化も速く、「新しい価値観」にも寛容な土壌がある。
Nothingがどこまで戦えるのか。
異端児が本家に挑むこの戦い、ちょっと目が離せない。