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    新型「ARグラス」が拓く3nmチップ搭載と空間AIの可能性

    Rokidが2026年6月の開発者大会で新型ARグラスを発表。世界初の3nm高通空間計算協プロセッサ搭載と、4D高斯スプラッティングによる三次元空間AI構築の意義を解説。

    新型「ARグラス」が拓く3nmチップ搭載と空間AIの可能性
    Rokid New AR Glasses Spatial Computer
    Rokid Open Day 2026で発表された新型ARグラスのプロダクトイメージ(画像:IT之家/Radar編集部)

    アップルの「Vision Pro」が示した空間コンピューティング(Spatial Computing)の可能性を、より軽快で、一日中着用できるメガネ型デバイスで実現する動きが急加速しています。中国のARグラスのパイオニアである**Rokid(ロキッド)**は、開発者大会「Rokid Open Day 2026」にて、同社が「新世代の空間コンピュータ」と位置づける新型ARグラスを発表しました。

    このデバイスの最大にして最も革新的な技術ハイライトは、ARグラスとしては世界で初めて**「3nm(ナノメートル)プロセスを採用したQualcomm製の空間計算協プロセッサ(Qualcomm Snapdragon Spatial Co-processor)」**を搭載した点にあります。これにより、軽量なグラスの中に圧倒的な空間演算パワーをパッケージングすることに成功しました。


    1. 3nmプロセッサが解決する軽量ARグラスの「算力の壁」

    一般的なARグラスにおいて、最大のトレードオフは「処理性能(算力)」と「デバイスの重量・発熱」です。現実世界とデジタル情報をミリ秒単位で位置合わせするSLAM(自己位置推定)や環境認識は、極めて高い計算処理を要求するため、これまでは重いヘッドマウントディスプレイや、有線接続する専用の大きな演算端末が必要でした。

    Rokidはこの課題に対し、デバイス内部のハードウェア構成を賢く役割分担させる「マルチプロセッサアーキテクチャ」を採用しました。

    • メイン制御:BES2810フラグシップチップ(6nmプロセス): 超低消費電力で動作し、5麦克風(マイク)による高度な音声認識や、ノイズキャンセリング、オーディオエフェクトといった基本センサー制御を担当。
    • 空間計算:Qualcomm Snapdragon 至尊空間計算協プロセッサ(3nmプロセス): 3nmという超微細プロセスを採用することで、極めて低い消費電力と発熱に抑えながら、強力な空間情報処理を実現。その算力は「Meta Quest Pro」や「Pico 4」といったスタンドアロン型VRヘッドセットの性能を凌駕し、グラス単体での高度な3Dグラフィック処理を可能にしました。

    2. 4D高斯スプラッティングによる「空間認知と理解」の実現

    本デバイスは「空間+AI」をコンセプトにしたデュアルカメラ(双眼カメラ)を採用しており、58°の視野角(FoV)、6DoF(六自由度)の完全な空間トラッキングに対応。さらに、レンズ部分には周囲の明るさに合わせて透過率を電気的に変化させる「電致変色(エレクトロクロミック)」技術を搭載し、屋外でも鮮明に情報をAR表示できます。

    特に開発者向けに開示された仕様では、最新の3次元表現技術である**「4D高斯スプラッティング(4D Gaussian Splatting)」**のサポートが注目を集めています。これは、カメラ映像から周囲の三次元空間のリアルタイムな「空間感知」「空間再構成」「空間理解」をデバイス単体で行うための基盤技術です。

    単に情報を空間に浮かせるだけでなく、グラス自身が「そこにテーブルがある」「そこに人がいる」という物理環境の奥行きや物体そのものの意味を高度に理解し、デジタル情報を完全に現実空間とブレンドさせること(空間AI)を目指しています。


    3. アプリケーションと日常利用へのブリッジ

    Rokidの新型グラスは、中国のインフラアプリである「微信(WeChat)」との深い統合も発表されました。

    • 微信「スキャン」機能のネイティブ対応: ARグラスのカメラを通じて、現実のQRコードを見つめるだけでシームレスに微信ペイの決済や情報読み込みが可能。
    • 一言でのタクシー配車: 「タクシーを呼んで」とグラスに一言話しかけるだけで、GPSとAIアシスタントが連動して自動で配車を完結。スマートフォンをポケットから取り出す手間を省きます。

    4. 空間コンピューティングデバイスのスペック・位置付け比較

    Rokidの新型ARグラスと、市場の主要な競合デバイスの比較は以下の通りです。

    項目Rokid 新型ARグラスMeta Quest 3Apple Vision Pro
    デバイス形状日常着用型のARグラススタンドアロン型VRヘッドセット空間コンピュータ(ゴーグル型)
    空間計算用チップ3nm 空間計算協プロセッサSnapdragon XR2 Gen 2 (4nm)M2 + R1 チップ
    センサー制御6nm BES2810(低消費電力)統合SoC制御専用R1チップによる同期
    空間立体再構成4D高斯スプラッティング対応メッシュスキャンLiDARによる空間スキャン
    日常実用性電致変色、微信(WeChat)等と直結ゲーム・VRコンテンツが中心仕事用デスクトップ、メディア
    着用重量メガネと同等の超軽量設計約 515g約 600g〜650g

    [!TIP] 【編集部解説】ヘビーなプロセッサと低電力制御チップの「二頭立て馬車」 Rokidが示した「オーディオ・基本センサー(6nm)」と「空間処理(3nm)」を物理的に分けるチップ設計は、スマートグラスが「普通のメガネ」の形状を保ちながら高度な空間AIを稼働させるための最も現実的かつ優れた解法です。これによりバッテリー消費とこめかみ部分の発熱問題を劇的に改善しており、将来のARグラスのデファクトスタンダードとなる構成です。

    [!NOTE] 開発者向けオープンデー発表内容について Rokidが発表した新しい「YodaOS」および開発SDKの仕様、協プロセッサとの統合アーキテクチャの詳細は、IT之家報道 およびRokid公式開発者ポータルをご覧ください。

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